教育理念

心身の調和的発達を促す

幼児の心身の機能の特質は未分化・未発達です。心《知性》と身体は常に相関して発達しますから、教師は幼児の心身を分離状態に眺めることなく、固体として統一体として捉え指導せねばなりません。

そのために栄養《血液》も、頭に50%、身体に50%ずつ配分されています。5領域を総合的・複合的に捉えなければならないことも、私達が幼児体育を確立させてきたことも、このような幼児の生理学的事実が根底に在るからです。それは、幼児教育の主たる目的が《心身の調和的発達》であることの所以でもあります。しかしながら、正しい幼児教育としての体育が、実践されていないことも、不足していることも現状です。

幼児が最も満足な状態で身体活動を享受するためには、幼児を単元の総てに集中させようとする以前に、教師そのものに幼児が集中していなければなりません。私達は、幼児の個々が教師とふれあうことから教育が始まることを、体育方法の基底には幼児への限りない“愛情”が存在することを、起点に定めます。……豊かなヒューマンリレーションズの中に新しい教師像が確立されます。

しからない指導の宣言

教師が子供を“しかる”ことは簡単です。ましてや“怒る”ことと混同すれば最悪の事態です。そこには幼児教育は存在しません。しかることがいけないのではなく、幼児の将来に関る事については、その子のために顔を真っ赤にしてしかるべきです。ただし、その日の内に収拾しておくことを忘れてはなりません。むしろ子供は“ほめる”ことに重点をおき能力を発揮させれば、自信に満ちた笑顔が返ってきます。

子供が夢中になれるよう、幼児教育の本質に沿って、興味を引出しながら指導をすれば、アッという間に一単元が終了し、そこに『今日の体操は楽しかった?』……で終われる教師の姿が在るはずです。

私達はここで《しからない指導》の宣言をしたいと思います!

三位一体の幼児体育の推進

教育は総べての人と人との間で運営されます。幼児体育(健康領域)が保育の一翼を担い、幼児が満足な状態でそれを享受するために、幼稚園(教諭)と父母と研究所(講師)は常に三位一体の体制づくりを推進しなければなりません。私達が歩んできた道にはその軌跡がはっきりと残されています。

具体的には、全園児の運動能力(体力)を向上させ、健康領域を拡充させるために、幼稚園の意志と良心のもとに先ず正課体育を設置します。更にそれを補うために、父母の理解と意志で課外体育を設置し、私達指導者は緊密に連絡を取りながら、あらゆる意志を幼児体育の一点にしぼり実践していきます。たとえ教育の形態に正課と課外が存在しても、教育の本質や教師の人格が変わってはならないと思うからです。ましてや幼児の人格が変わろうはずがありません。それが創立以来変わらぬ信念です。

私達は「幼児教育としての体育」を総合的に有機的に捉え運営し、園に代わって体育に関わる全てのイメージを父母に伝えて行きます。その評価は必ずや園に還元されるはずです。

幼児の理想的な教育を追究

明日の未来を切り開くのは幼児であり、その子らの潜在する「行動力」です。行動力は『意欲』を高め、意欲は『知性』を育みます。しかし、ただ遊びまわっているだけでは、せっかくのエネルギーもむだに消費されるばかりです。幼稚園の知的活動に、私共の指導する身体活動が加わって初めて理想の幼児教育が生まれます。その身体活動も、幼児が知的にも身体的にも満足出来る幼児教育の本質に沿ったものであることはもちろんです。

『行動しながら学習すること』—。それが幼児本来の姿です。幼児は身体活動の欲求が遮断されると、たちまち情緒が不安定になり『ぐずる』『あばれる』といった結果をもたらし、こころの発達に良い影響を与えません。またそのことで幼児を責めてはいけません。大切なことは、幼児の『からだ』と『こころ』の機能をフルに活動させる環境を与えることです。さらには、『愛情欲求』や、『独立の欲求』や『社会的欲求』を充たして上げることです。それらの何一つが欠けても、真の健康とは言えません。

私達は、幼児一人一人を『個性ある主役』として、人間性豊かな教育現場を創造します。『教師と幼児の人格を』同じにして教育を行い、幼児に『もう終わりなの!?』と言わせる指導、これがひとつの理想的な教育だと信じています。

心ある教育者の育成

教育の目的を《自立》に求めるとしたら、教育の対象は《人間》です。しかし、その前に教師自身が人間教師として自立していなければなりません。更に、健康教育に従事する者が心身共に健康でなければ、幼児に「心身の調和的発達」など求める資格は到底ありません。私達は常にそう考えております。

教師を育てるということは、“子供には自分で自分を形成する力があるように”大学を出た若者にも、教師としての、社会人としての、自己を形成する能力が具わっていることを、信じることだと思います。組織に「教育の久遠の未来への展望」が資質として存在しているかに否かに拘っていると思います。

当所の人材育成には「一人の先輩が一人の後輩をリードすることから始めよう」という心構えがあります。それは、たった一人の人間でさえリード出来ない、人間としての魅力に乏しい者が、決して教育者として組織人として存在し得るわけがない……、と考えるからです。また、もう一つには、例え新人であっても全所員が一致団結して育成に当れば必ずや一人前の人間にすることが出来る……という信念があります。これら二つの基本姿勢に立脚して当所独自の教師養成を展開します。